3Pが得意なチームは強いのか(RS編)
近年のNBAはGSWやHOUに代表されるような3Pを多用するチームが増えており、2000年代からNBAを見ていると、バスケそのものがここ十数年で大きく変化したと感じます。今回は2018-19年シーズンのスタッツを使用して3Pと勝敗の関係性について分析したいと思います。プレイオフとの比較もしたいので、今回は昨シーズンのレギュラーシーズンのスタッツを使用します。
1. 勝敗との相関とリーグ全体の傾向
3Pは1試合当たりの成功数、3PAは1試合当たりの試投数、3P%は3P成功率を表します。
相関係数を使用して各チームの3Pスタッツと勝率との相関を調べると、以下のような数字となります。
|
3P |
3PA |
3P% |
W/L% |
0.487222 |
0.312689 |
0.54186 |
相関係数は1に近いほど相関が強く、0.4以上であればそれなりの相関があると判断できます。成功数、成功率は0.4以上のため勝率との相関が確認できます。成功数よりも成功率のほうが勝敗への影響度が大きいようです。
次にリーグ全体の平均と上位・中位・下位チームそれぞれの平均を見てみます。
上位10チームだけが試投数、成功数ともに平均を超えていますので、やはり3Pをいかに多く打って多く決めるのかが上位進出のカギになりそうです。一方で成功率を見ると、中位と下位の間の乖離が目立ちます。プレーオフ進出を争うチームにとっては成功率の向上がより重要になってきそうです。
Team |
3P |
3PA |
3P% |
League Average |
11.4 |
32 |
35.5% |
Top 10 |
12.42 |
34.52 |
36.0% |
Mid 10 |
11.05 |
30.68 |
36.2% |
Bottom 10 |
10.61 |
30.82 |
34.5% |
2. 上位10チームの3Pスタッツ
レギュラーシーズン勝率Top10の3Pスタッツを見てみます。
DEN、POR、PHIを除く7チームは試投数、成功数ともに平均以上となっていますが、これら3チームのように3Pを多用せずインサイドやミドルレンジでも勝負できるチームが存在することも確認できます。DENにはJokic、PORにはNurkic、PHIにはEmbiidといった優れたインサイドプレーヤーがいますので、この数字も納得できます。それでも全体で見ると3Pを多用するチームが多く、かつ成功率も高いのが印象的です。
W/L% Rank |
Team |
3P |
3PA |
3P% |
1 |
MIL |
13.5 |
38.2 |
35.3% |
2 |
TOR |
12.4 |
33.8 |
36.6% |
3 |
GSW |
13.3 |
34.4 |
38.5% |
4 |
DEN |
11.0 |
31.4 |
35.1% |
5 |
POR |
11.0 |
30.7 |
35.9% |
6 |
HOU |
16.1 |
45.4 |
35.6% |
7 |
PHI |
10.8 |
30.2 |
35.9% |
8 |
12.1 |
34 |
35.6% |
|
9 |
OKC |
11.4 |
32.6 |
34.8% |
10 |
BOS |
12.6 |
34.5 |
36.5% |
3. 3P試投数、成功数Top10のチーム
それでは本当に3Pを多用すれば勝てるチームになるのかという疑問が出てきます。バスケの勝敗には3P以外にも多くの要素が勝敗に影響しますが、今回はあくまで3Pにだけフォーカスして論じます。
まずは成功数Top10を見てみます。
10チーム中8チームがプレーオフ圏内ですが、ATLとDALだけが下位となっています。
3P Rank |
Team |
W/L% Rank |
3P |
1 |
HOU |
6 |
16.1 |
2 |
MIL |
1 |
13.5 |
3 |
GSW |
3 |
13.3 |
4 |
ATL |
26 |
13 |
5 |
BRK |
14 |
12.8 |
6 |
BOS |
10 |
12.6 |
7 |
DAL |
23 |
12.5 |
8 |
TOR |
2 |
12.4 |
9 |
8 |
12.1 |
|
10 |
DET |
16 |
12.1 |
次に試投数 Top10です。
こちらはATL、DAL、CHOがプレーオフ圏外です。特にATLとDALは3位と4位なので3Pを打ちまくっていますが勝てません。
3PA Rank |
Team |
W/L% Rank |
3PA |
1 |
HOU |
6 |
45.4 |
2 |
MIL |
1 |
38.2 |
3 |
ATL |
26 |
37 |
4 |
DAL |
23 |
36.6 |
5 |
BRK |
14 |
36.2 |
6 |
DET |
16 |
34.8 |
7 |
BOS |
10 |
34.5 |
8 |
GSW |
3 |
34.4 |
9 |
8 |
34 |
|
10 |
CHO |
18 |
33.9 |
3Pを多く打って、多く決めるチームのほとんどがプレーオフに進出していますが、必ずしもそうなるとは言えないことをATLとDALが証明しています。
4. 3Pを多く決めても勝てないチーム
ATLとDALの3Pスタッツを見てみます。
冒頭でもプレーオフ進出には成功率がカギになると言いましたが、予想通りATLとDALの成功率は平均以下でした。
Team |
3P |
3PA |
3P% |
ATL |
13 |
37 |
35.2% |
DAL |
12.5 |
36.6 |
34.0% |
赤線が成功数の平均、オレンジ線がプレーオフ進出ラインの勝率5割です。
成功数が平均以上のチームが多く右側にいる中で左側のATLとDALが目立ちます。
赤線が成功率の平均、オレンジ線がプレーオフ進出ラインの勝率5割です。
成功率が平均以上のチームがほとんど右側のプレーオフ圏内にいるので、ATLとDALは成功率の向上が課題となりそうです。
5. 結論
今回の分析で上位チームの全てが3Pを得意としているわけではないが、得意とするチームのほとんどは最低でもプレーオフ圏内に入れることがわかりました。3Pを多く決めるチームでも下位のATLやDALといったチームもありますが、こういったチームは成功率を向上させることで上位に進出する可能性が高まりそうです。